メガバンク系証券会社 A社様(本社:東京、東証一部上場)では営業職・管理職の社員の方々、約3,000名を対象に、デスクトップPC, タブレットを使ったオンデマンド・e-Learningプログラムをこれまで多数開発し、業務知識の強化、業界動向の理解のためのオンライン教育を展開中です。
今回、㈱デジタルプラネットが提供するデジタル研修が、このe-Learningの新たなプログラムとして加えられ、2月中旬より社内でオンライン配信が開始されました。
金融・証券業界には世界的なフィンテックの波が押し寄せてきており、デジタル・テクノロジーを活用した業務改革は待ったなしの状況です。それに加え顧客への投資コンサルティング業務においては、昨今のデジタル・ビッグバンという大変革が、いろいろな産業分野にどのようなビジネス・インパクトをもたらすかを見極めることが強く求められています。
今回のプログラムでは、最新のホットなトピックスであるビジネス・ディスラプション(市場の創造的破壊)などについて、デジタル・ビッグバンの視点から分析・整理した講演がビデオ撮影され、e-Learningコンテンツに加えられました。(以下はその内容の一部です。)
いまやデジタルビックバンは地球上のあらゆる産業構造に大きなインパクトをもたらしています。
決して穏やかではない地殻変動のようなその変化は、デジタル・ディスラプションと呼ばれます。その意味は創造的破壊です。そしてそのトレンドを支えるITインフラは なになに(XX)テックと呼ばれ、最近にわかに注目を集めています。
例えばフィンテックとはファイナンシャル領域において、最新のデジタルシステムを活用した低コストで高付加価値サービスを提供する金融業界の新トレンドです。
同様な現象は広告業界でも発生しています。GoogleやFacebookは、ユーザ一人ひとりにダイレクトに、最も興味あるものの広告を提示します。その出現は、既存メディアを媒体とした広告ビジネスを脅かしつつあります。これがアドバタイズ・テックつまりアドテックが築きつつある、広告業界の新たなスタンダードです。
既にいろいろな産業において X テックが登場しています。
デジタル・ビッグバンの産物であるAI, IoT, API, Big Dataなどを活用した斬新なITシステムは、社会全体の仕組みを物体的活動から情報フローへと変換し、物質的コストの削減、業務処理の迅速化、情報に基づくきめ細かいサービス等を実現します。
既存のサービスに満足していなかった顧客は、この新しい高付加価値サービスを喝采をもって歓迎し、躊躇なく鞍替えします。その結果、短期間に新たな市場が出現するのです。これが創造の実体です。その場合、既存のレガシー・ビジネスは打撃を受け、シェアをおとし、売り上げの減少という困難に直面します。最悪の場合、破壊されてしまいます。
この創造と破壊が同時に出現するビジネス現象がデジタル・ディスラプションです
そして新たなビジネスを創造するプレーヤーは多くの場合、新規参入企業です。
自分が気に入った良いものを、安く早く手に入れたいという顧客の需要は不変です。しかしその要望に応えるための供給者サイドのビジネス手法やスタイルは、革新的デジタル・テクノロジーの出現とともに大きく変貌しています。
現代の顧客は、ネット上の多様なサービスの中で体験した高い顧客満足度を、すべての産業に要求する傾向があります。つまり銀行や金融産業の既存のサービスは、アマゾンGOやYouTubeなど他産業のベストプラクティスと比較されるということです。それこそがフィンテックを生む下地なのです。
現代の顧客のデジタル感性は、レガシー企業よりも一歩先に進んでいることをしっかりと認識する必要があります。
これはビジネススクールでよく用いられるSWOT分析のグラフです。すなわち市場における企業の強み弱み及びビジネスリスクを解説する図です。
この座標軸の第4象限に属する企業は業績が良くありません。弱い技術力のためシェアも低く、短期思考でかつ新製品も出てこない。いわば現在の負け組です。
さてこの市場においてある種の変化が起こったとしましょう。新たなテクノロジー出現に起因する変化です。
例えば最近にわかに注目を浴びているAIスピーカーをその変化の一つの例としましょう。 このスピーカーテクノロジーの活用が、自社のビジネスにどのような影響与えるか。それこそが変化のもたらすインパクトです。つまり業績のすぐれない企業にとってはこれが浮上のためのトリガーになる可能性を秘めているのです。
この変化を見逃さずにAIスピーカー機能を自社製品に上手に付加して、イノベーションを推進する企業は、ヒット製品を市場に出し、シェアを上げ、結果的に高い収益の組織に変身する、つまり第一象限にプロットされる勝ち組に昇格できるかもしれないのです。☆
一方、すでに高いシェアを有する製品を持っている勝ち組企業においても、AIスピーカーを活用することによって、高シェアからレベルアップして、さらに独占的シェアを得ることも可能です。
しかし状況次第では、この優れた独占的なポジションに、いきなり外部から新規参入業者が乱入してくることもあるでしょう。それこそが先程見たデジタル・ディスラプションなのです。
また負け組グループからいきなり最優良組にジャンプできるかもしれません。 しかし逆に、この第1象限に位置する会社が、ビジネス努力を怠ったために第4象限という奈落の底に陥ることもあり得るのです。
そして大切な事は、テクノロジー変化は毎日のように発生しているという事実です。 センサー付き肌着や血糖値測定用コンタクトレンズのような、過去に前例の無い新型テクノロジーは日々出現します。そこでは、変化をどうビジネスに生かすかが問われているわけです
上手にその変化を活用した企業はビジネスで優位に立つ一方で、逆の場合はビジネスを失うリスクもあります。つまり破壊と創造は表裏一体なのです。
IT評論家ケビン・ケリーが述べる「今日この日が新しいビジネスをスタートする絶好の機会だ」という言葉は実に説得力をもっています。
フレッシュなデジタル感性を養った同社の社員の方々から、証券ビジネスの「未来を創造する」ための斬新なサービスや製品アイデアが生み出されることを期待します。